風になったアナタへ
笑いが止まらないリンに手を引かれながらトイレを出て、ダンスフロアに目をやると、テクノ系の音楽には見事にそぐわないスローな動きで、しかもタコのように両手をくねらせながら1人で陶酔し、踊っているジョーがいた。

私も、はじかれたように笑い出した。リンと二人で、その場に座り込んで、涙が出るほど笑い転げた。あまりにも笑いすぎて腰が立たなかった。すると、ジョーは私達を見つけるやいなや、その滑稽極まりない踊りをしながら、私達に近寄ってきた。

リンは息を切らしながらジョーに向かって言った。

「ジョー! 葉月の気を引くなら今かもっ!」
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