風になったアナタへ

そして、あっという間に、ジョーは私の手を取ってダンスフロアに私を連れ出した。

「ちょっとーっ、リンッ！　ずるいよー、やだよぉ、こんなタコ踊りーっ」

私は、リンに向かって悲鳴にも似た声で怒鳴った。

しかし、ジョーの無様な動きに、私の声は笑っていたし、リンも何か大声で言っていたが、笑いと音楽で、かき消されてしまった。　決して、ジョーを気に入ったわけではない。ただ、笑いの効能というのは恐ろしいもので、私も、その時までには、ジョーの変な踊りに付き合って、みんなを笑わせてやれと言う気持ちさえなっていた。

リンと笑い転げる日は、これからいくらでもあると、この頃の私は思っていた。