風になったアナタへ
「特別? これは、特別なんかじゃないわ。あなたのお母さんだって、もし、うちのリンが日本へ行って、誕生日を日本で迎えることになったら、きっと当然のように祝ってくれるでしょ? あなたの誕生日を祝うのは私とリンにとっては当然のことなのよ」

私は、なんだか、泣いてしまいそうになった。心に血が一気に流れこんで破裂してしまいそうな感じ。

「ママ、私、再来年のクリスマスに、日本へ行っていいでしょ? 葉月の家に行くって、約束したの」

リンは、私には見せたことのない甘えた顔と声で、パトリシアに懇願した。私はリンが話し終えるのを待たずに、

「リンとニ人で、日本へ来て下さい。今日のお返しを、私と母でしたいから」

と言った。

「そうね。いつか、必ず行くわ」

パトリシアは笑顔で答えた。
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