風になったアナタへ
1996年1月某日 (リンとの別れまで残り約2年半)
~リンとの出会い~
頬を撫でていく風は痛いほどに冷たかった。凍るような寒さだったが、降り積もった雪に足跡をつけるのが楽しい朝だった。
自分が一番のりだと思って行った教室に、既に居た一人の生徒、それがリンだった。目が合うと殆どのアメリカ人がそうするように、リンも私も、
「ハイ」
と言ってお互いにニッコリ笑い合った。
その時、自分がした口だけのニッコリは、彼女が顔全体で返してくれたニッコリに瞬時につられた。もしかすると、外見がアジア人であるリンに親しみを感じただけだったのかもしれない。でも、あの時にリンが見せた屈託の無い笑顔を私は今でもしっかり思い出せる。
自分が一番のりだと思って行った教室に、既に居た一人の生徒、それがリンだった。目が合うと殆どのアメリカ人がそうするように、リンも私も、
「ハイ」
と言ってお互いにニッコリ笑い合った。
その時、自分がした口だけのニッコリは、彼女が顔全体で返してくれたニッコリに瞬時につられた。もしかすると、外見がアジア人であるリンに親しみを感じただけだったのかもしれない。でも、あの時にリンが見せた屈託の無い笑顔を私は今でもしっかり思い出せる。