風になったアナタへ
パトリシアが何かを言う度に、私は何も言えずに泣いた。

「泣きたいだけ泣きなさい。あのね、無理にとは言わないけど、今度の土曜日の7月25日に、あの子のメモリアルサービスを教会でするの。来られるようなら、是非いらっしゃい。その時にね、受付の所にリンの小さい頃から最近までの写真を飾るのよ。だから写真を整理しなきゃならないの。写真の整理、手伝ってくれる?」

パトリシアのガラスのように澄んだ微笑みは私を少しだけ元気にした。

「手伝います。是非手伝わせて。リンの小さい頃の写真も見たいし」

私はパトリシアの目を見て、少し笑ってみた。パトリシアは私の肩を抱きながら、

「さ、そうと決まったら、さっそく始めましょう」

と言い、ソファから立ち上がった。写真を取りに地下の部屋へ降りていくパトリシアの背中はピンと伸びていた。
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