風になったアナタへ
そう言ってパトリシアは一枚の写真を私の前に差し出した。愛犬のベイリーを抱いてリンが笑っている。本当によく写っている。それも、ここのところリンが気に入って、よく着ているシャツを着て写っている。1ヶ月以内に撮影されたものに違いなかった。
「この写真……、一体誰が撮ったんですか?」
「私よ……。数週間前、あの子が私の所へ来て、こう言ったの。
『ママ、私とベイリーの写真を撮って。葉月が日本へ帰る時に持たせるの。で、部屋に飾っておいてもらうの! クリスマスまでに私のことを忘れちゃったら困るじゃない? でも、この写真のことは葉月が帰る日まで内緒よ。私、葉月には写真を撮らせなかったんだから』
上手に撮ってよ、上手に撮ってよって、何度も注文をされながら、この写真を撮ったのよ。これはあなたに差しあげなきゃね。あなたに渡さなきゃリンが天国で怒るものね。もちろん焼き増しはしてあるの。それでね、この写真を土曜日のメモリアルサービスの時にリンの棺の上に飾るメインの写真にしようと思うんだけれど、いいかしら……」
「この写真……、一体誰が撮ったんですか?」
「私よ……。数週間前、あの子が私の所へ来て、こう言ったの。
『ママ、私とベイリーの写真を撮って。葉月が日本へ帰る時に持たせるの。で、部屋に飾っておいてもらうの! クリスマスまでに私のことを忘れちゃったら困るじゃない? でも、この写真のことは葉月が帰る日まで内緒よ。私、葉月には写真を撮らせなかったんだから』
上手に撮ってよ、上手に撮ってよって、何度も注文をされながら、この写真を撮ったのよ。これはあなたに差しあげなきゃね。あなたに渡さなきゃリンが天国で怒るものね。もちろん焼き増しはしてあるの。それでね、この写真を土曜日のメモリアルサービスの時にリンの棺の上に飾るメインの写真にしようと思うんだけれど、いいかしら……」