風になったアナタへ
 笑ったり怒ったり
 でも一度も私の前では泣かなくて
 そういう強いアナタが私は大好きだった。

 この前ね
 アナタの家に行って
 アナタのお母さんと写真の整理をしたの。
 大きなダンボールの中には
 家族や友達から愛され続けた
 無垢なアナタの笑顔が沢山あって
 底のほうにある写真に手を伸ばすと
 カビの臭いが少しだけして
 それは24年という月日が
 アナタやアナタの家族にとって
 振り返る暇もないほどに楽しく
 瞬く間に過ぎたことを
 表しているのだと思うと
 アナタが居ない事に
 急に真実味が湧いてきて
 涙が何度もこぼれた。
< 58 / 81 >

この作品をシェア

pagetop