風になったアナタへ
 それなのに
 次の日になると
 アナタが死んだという事実は
 まるで違う世界で起こったことのように
 感じてしまう時がある。
 例えるなら
 半透明のシャボン玉の中に
 アナタが入っていて
 私の前をフワフワ飛んでいる
 そんな感じ。

 見えそうで見えなくて
 掴めそうで掴めなくて
 でも私が見つめつづけていると
 それは突然
 パチンと割れて
 中のものを触ろうとすると
 いつのまにか
 またシャボン玉が飛び始めて
 それが1日に何十回も繰り返される。

 シャボン玉はフワフワしているのに
 それが割れると
 その破片は
 私の心の一番弱いところに刺さるから
 私は痛みに耐えかねて
 泣かないように
 煙草を吸う。

 ねえ、リン。
 どうしよう……」
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