風になったアナタへ
もちろん、コピーライターの仕事だけでは生活が苦しいので、英語を教えたり、通訳の仕事をしたり、イベントの司会をしたりもする。どの仕事も楽しい。でも私は、書く仕事だけは一生続けていきたいと思う。

私は三十歳になった。そして、三十歳の誕生日を迎えた直後に、恋人との関係が破綻した。アメリカと日本での遠距離恋愛だった。要は二人とも距離に負けたのだ。

そんな折、私の仕事仲間がアメリカ旅行に誘ってくれた。海外へは帰国して以来一度も行っていなかった。

私は彼に会いに行くために貯めていたお金を三十歳の自分への誕生日プレゼントとして全部使ってしまおうと思った。そして、仕事仲間と共にアメリカ西海岸で楽しい時間を過ごしたあと、私はアメリカに一人残って、リンのお墓に行こうと心に決めた。
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