風になったアナタへ
1996年・夏 (リンとの別れまで残り約2年)

~私の日常、時々リン~

リンと同じ授業がある学期の間でも、私たちは、お互いにマイペースだった。

ランチを一緒にとっても、次の日のランチの約束をすることはなかった。約束をしていなくても、買い物に行った先のスーパーで偶然に会って、夕食を一緒に作って食べることもあった。

突然、電話がかかってきて、お互いの友達を連れて踊りに行こうと誘われることもあれば、ビールをワンケース抱えたリンが、不意に私のアパートへ来ることもあった。

同じ授業のある学期が終わってからも、私とリンが共有する時間は、増えもしなければ減りもしなかった。とにかく、リンは自分の出番を知っているかのように、私の生活にタイミング良く入ってきてくれる人間だった。

この人の前でなら泣きたい時に泣けるかもしれない、と私は少しずつ思い始めていた。
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