ショ-トスト-リ-
風笛がくれたもの
「この箱を開けてみて」
風笛(カザブエ)が言った。
それは何の変哲もない、厚紙できた普通の箱だった。この箱の中に何が入ってると言うのだろう。
白い空と、黒い木々に覆われた公園のベンチに僕と風笛はいた。
時間が経つにつれ、妙な期待感が生まれてくる。中に何が入ってるんだろうと。
高価な物か。もしくは風笛が大切にしてる物か。
風笛に会ったのは、偶然という時間の産物だった。
風が冷たく感じる日だった。
緑だったはずの街路樹が灰になった光景を僕はみた。そして公園のベンチに腰掛ける頃には、木々は黒く染まってしまった。
向い風がやけに冷たい。それを感じた次瞬間、いつの間にか隣りに風笛がいた。
僕は話し掛けるつもりはなかったけど、風笛がそっと箱を僕に渡した。
僕は何の前触れもなく、蓋を開けた。その瞬間、白い空が青々とした空に変わると一瞬だけ思った。そして僕は中身に目をやった。
中には何もなかった。
当然のように僕は浮かない表情をした。その顔で風笛の方を見た。すると風笛は笑顔でこう言った。
「だけど希望はあったでしょう?」
と。
そしてその言葉を最後に、風笛は一瞬で僕の前から消えてしまった。
さっきまで向い風だったはずなのに、風笛が去った後の風は何故か追い風だった。
風笛(カザブエ)が言った。
それは何の変哲もない、厚紙できた普通の箱だった。この箱の中に何が入ってると言うのだろう。
白い空と、黒い木々に覆われた公園のベンチに僕と風笛はいた。
時間が経つにつれ、妙な期待感が生まれてくる。中に何が入ってるんだろうと。
高価な物か。もしくは風笛が大切にしてる物か。
風笛に会ったのは、偶然という時間の産物だった。
風が冷たく感じる日だった。
緑だったはずの街路樹が灰になった光景を僕はみた。そして公園のベンチに腰掛ける頃には、木々は黒く染まってしまった。
向い風がやけに冷たい。それを感じた次瞬間、いつの間にか隣りに風笛がいた。
僕は話し掛けるつもりはなかったけど、風笛がそっと箱を僕に渡した。
僕は何の前触れもなく、蓋を開けた。その瞬間、白い空が青々とした空に変わると一瞬だけ思った。そして僕は中身に目をやった。
中には何もなかった。
当然のように僕は浮かない表情をした。その顔で風笛の方を見た。すると風笛は笑顔でこう言った。
「だけど希望はあったでしょう?」
と。
そしてその言葉を最後に、風笛は一瞬で僕の前から消えてしまった。
さっきまで向い風だったはずなのに、風笛が去った後の風は何故か追い風だった。