先生
「沙妃?」
あたしのことを呼ぶ皇の方に振り返る。
「何泣いて―……」
「離れて下さいーっっ!」
「姫架??」
あたしに話しかけようとしたけど、
姫の声に反応して保健室に入り、
あたしが見たこと無いくらい早く姫にかけよる。
皇は姫を守る王子様だね。
あたしもそんな風にてっちゃんに好かれたかったよ。
もうね。
前が見えない。
視界がぼやけて前が見えないよ。
「皇っ! たっ助けて~(泣」
そう言った姫の声を聞いて思った。
さっきまでてっちゃんには困ったような動揺した声だったのに、
皇に対しては安心した優しい声をしてる。
気付かなかった。
今までずっと一緒だったのに。
姫が皇のこと好きなんて。
そうだよね。
考えれば思い当たる節だってあるもん。
どうしてあたし気付かなかったんだろ。
2人は両思いだったんだね。
それは嬉しいこと。
あたしの大好きな2人がくっついてくれるのは嬉しい。
でも今のあたしにはそんな2人が眩しすぎてなんだか直視出来ないよ。
あたしも、てっちゃんと両思いになりたい。
そう強く思っちゃうの――…