雪花
そんな時、高校の入学式で雪華を見かけたんや。
桜の花びらが舞い散る中、背筋を伸ばして桜を見上げてた。

クラスの中に、その子がいた。

誰かといなきゃ不安な俺とは、正反対でいつも一人でいる雪華を見て、かっこええと憧れてたんや。

そんな雪華を見て、俺も一人でがんばってみようと思えたんや。


ありがとう    』


 涙をこぼしたくなくて、空を見上げた。

「そんなんじゃ、ない…」

 今ごろ相馬は、飛行機の中にいるのかな?

 相馬の目に、私がそんな風に写っていた事に、驚いた。

 ちょっと誇らしいけど、本当の私はそんなんじゃない。

 怖いんだ。
 人を受け入れるのが、怖い。

 だけど…。





 相馬と、もっと話したかった。話せばよかった。






 1枚かと思った手紙は、もう1枚あった。
 1枚目をめくる。

 相馬の言葉は、続く。
 一方的に。相馬の想いだけを。
 私には、反論どころか相づちすらさせてくれない。

 相変わらず、勝手なヤツ。







< 12 / 17 >

この作品をシェア

pagetop