雪花
 相馬は、変わり者だ。用もなく私に話しかけてくる、珍しい男子。まぁ、私に限らず誰とでも仲良くしてるけど。

 小さい頃に大阪にいたそうで、未だに関西弁が抜けないらしい。


「ほら、なにボーっとしてんねん。さっさと終わらすで」

 相馬の手には箒が握られていた。

「男子の当番って相馬なの?」

「そうや」


 私は、こいつが苦手だ。
 心をかき乱す。人と関わる事を拒否している私の中に入り込んでくる。

 一人でいれば、傷つくこともない。裏切られることもない。
変に期待したり、されたり、面倒だ。

「なぁ、いつまで黒板消しはたいてんねん」

「え?あぁ、ごめんごめん」

 振り返ると相馬は帰り支度を始めていた。

「終わったの?」

「お前が、ボケーッとしとる間にな。それより、早よ帰るで」

「は?一緒に帰るの?」

「もう帰るんやろ?」

「そうだけど…」

「じゃ、ええやん」


 そういや、相馬って一人でいるとこ見たことない。
 私とは、正反対だ。







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