雪花
「雪の中、凛と咲いてる華って感じで、かっこええよな」

「なに言ってんの、相馬」

 …そんな事、言われたことない。

「俺、憧れてん」

 まっすぐな相馬の目を見ていられなかった。
 自分でも顔が赤くなっているのが、わかる。

「もしかして、照れてるん?」

「ちがっ…」

「真っ赤な顔して言っても、説得力ないで」

 ますます、顔が赤くなる。
 どうしていいか、分からない。

「可愛ええな」

「相馬って性格悪っ」

「知らんかったん?でも、そのおかげで、そんな顔が見れたんやから、得した気分やけどな」

「バカじゃないの」


 二人で、笑った。
 楽しかった。
 誰かと笑い合えるって楽しいんだ。



「ありがと」

 屋上を出る前に、ぼそりと言った相馬の声は、小さすぎて、私には届かなかった。







 雪が、降る。
 はらはら、と。ゆっくり、と。
 空から、白い雪が舞い落ちる。

 花びらのように。
 花びらが、舞うように。






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