掻き鳴らせ、焦燥。〜春風に舞う〜
「何をだ?」
「自分に合うバンドです。たまたま運が良くって、と云うより運命的に!」
「なぁーんだ、そんなことか」
「先生? ヒドラってコロッケパン食べます?」
「あぁあああぁー、やーめろぉぉぉ!!」
「てか、先生。このやり取り好きでしょ? わざとやってませんか?」
「んな訳ねーよ! オレの大切なヒドラちゃんをわざと危険にさらす訳ねーだろが」
先生はヒドラの水槽を抱きかかえるようにして、愛しそうに眺めながら、僕の方は見ずに続けた。