掻き鳴らせ、焦燥。〜春風に舞う〜


「まぁ、とりあえず良かったな。こないだまでオマエ、あんな目してたんだぞ」


「あんな目って、どんな目ですか? ヒドラに目ぇありましたっけ?」



先生は無言で、水槽から目を離すこともせず、戸棚に並んだホルマリン漬けの瓶を指差していた。



「あははは……」と、僕は笑って誤魔化した。






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