サンキューマイデイリー
悠介は画面に浮かんだメールのマークを選択、決定ボタンを押した。差出人は坂井海。高校時代の同級生だ。活発で元気な印象の海とは中学校からの知り合いで、高校では縁あって3年間同じクラスだった。今でも割と頻繁にメールやSNSサイトで交流を持っている友人の一人だった。
林さんが亡くなったって。
珍しく絵文字も何もなかったメールに一瞬思考が止まる。
悠介はすぐに立ちあがって講堂を出て行った、出ていく寸前、教授の少し苦い顔を目にとめたけれど、会釈だけして出て行った。
講堂からしばらく行ったところで立ち止まると、悠介は携帯電話を耳に押し付けた。海にかけているコールの音が頭の中に響く。廊下にはさっきまで自分のいた講堂や、他の教室からの授業中らしき声が聞こえてくる。
『もしもし』
「あぁ、坂井、あのメール本当?」
『やだなぁ、私だってあんな性質の悪い嘘はつかないよ。本当みたいだね』
電話の向こうの海はいつもより少し低いトーンでそういった。
『林さん、高校卒業するちょっと前から入院してたんだって』
「……卒業はしてたんだ」
『うん、そみたいだね』
「それで?いつ亡くなったんだって?」
『一昨日。3年の時の連絡網で話聞いて。たぶん松谷の実家にも連絡いってると思うよ」
「………」
『松谷?』
「ん、あ、あぁ、悪い、急に電話して」
『それはいいけど…今週末葬儀があるらしいけど、松谷は来る?』
「…行く。」
『ん、わかった。いっしょにいこうか』
「……そうだな、うん、秦にも連絡してみる。」
『うん。そうしてみて。」
それからいくつか言葉をやり取りして、悠介は通話を切った。抜け出てきた教室に戻る気にはなれず、しばらくそこでぼんやりと立ちつくしていた。
林さんが亡くなったって。
珍しく絵文字も何もなかったメールに一瞬思考が止まる。
悠介はすぐに立ちあがって講堂を出て行った、出ていく寸前、教授の少し苦い顔を目にとめたけれど、会釈だけして出て行った。
講堂からしばらく行ったところで立ち止まると、悠介は携帯電話を耳に押し付けた。海にかけているコールの音が頭の中に響く。廊下にはさっきまで自分のいた講堂や、他の教室からの授業中らしき声が聞こえてくる。
『もしもし』
「あぁ、坂井、あのメール本当?」
『やだなぁ、私だってあんな性質の悪い嘘はつかないよ。本当みたいだね』
電話の向こうの海はいつもより少し低いトーンでそういった。
『林さん、高校卒業するちょっと前から入院してたんだって』
「……卒業はしてたんだ」
『うん、そみたいだね』
「それで?いつ亡くなったんだって?」
『一昨日。3年の時の連絡網で話聞いて。たぶん松谷の実家にも連絡いってると思うよ」
「………」
『松谷?』
「ん、あ、あぁ、悪い、急に電話して」
『それはいいけど…今週末葬儀があるらしいけど、松谷は来る?』
「…行く。」
『ん、わかった。いっしょにいこうか』
「……そうだな、うん、秦にも連絡してみる。」
『うん。そうしてみて。」
それからいくつか言葉をやり取りして、悠介は通話を切った。抜け出てきた教室に戻る気にはなれず、しばらくそこでぼんやりと立ちつくしていた。