サンキューマイデイリー
授業が始まって5分、松谷はぼんやりとペン回し励んでいた。昔友達に教えてもらって熱心に練習したら、それはそのまま癖となって残ってしまったのだった。
現代文は昔から得意だったから、それほど集中して授業を聞いていない。ほとんどの授業で集中してないけども。
ふと、前の席に目がいく。新学年が始まって3日、まだ一度も姿を見せていない。毎日その席は空っぽだった。担任もなんだかそれに慣れた様子で、あぁ不登校か何かなんだろう、と悠介は勝手にひとりで納得していた。特にすることもなく、授業を聞く気にもなれなかったので机に突っ伏した、瞬間だった。
ガラリと、教室後方の扉が開く音がした。教室にいた生徒たちの視線が集中する。悠介もなんとはなしに振り返って音のもとを見やった。そうするとちょうど長い髪の後ろ姿がその扉を閉めているところで、悠介は彼女が振り返るのを待った。鞄を持っている。どうやら遅刻してきたやつみたいだった。
彼女がこちらを向くと同時に、悠介の視界には入っていなかった先生の声が教室に響いた。
「林…遅刻だ」
その声を聞いて、彼女は困ったように笑って小さく肩をすくめる。
「すみません」
「…しょうがないやつだな、早く席に着け」
先生はいつものこと、というように出席簿に書き込みをしていた。教室はざわついていた。
「静かに。授業を続けるぞ」
授業を再会した先生は黒板に背を向けた。教室のざわめきは小さくなったがおさまってはおらず、視線の多くは彼女を捉えたままだ。彼女はそれを別段気にすることもなく席に着いた。悠介の前の空席に。
現代文は昔から得意だったから、それほど集中して授業を聞いていない。ほとんどの授業で集中してないけども。
ふと、前の席に目がいく。新学年が始まって3日、まだ一度も姿を見せていない。毎日その席は空っぽだった。担任もなんだかそれに慣れた様子で、あぁ不登校か何かなんだろう、と悠介は勝手にひとりで納得していた。特にすることもなく、授業を聞く気にもなれなかったので机に突っ伏した、瞬間だった。
ガラリと、教室後方の扉が開く音がした。教室にいた生徒たちの視線が集中する。悠介もなんとはなしに振り返って音のもとを見やった。そうするとちょうど長い髪の後ろ姿がその扉を閉めているところで、悠介は彼女が振り返るのを待った。鞄を持っている。どうやら遅刻してきたやつみたいだった。
彼女がこちらを向くと同時に、悠介の視界には入っていなかった先生の声が教室に響いた。
「林…遅刻だ」
その声を聞いて、彼女は困ったように笑って小さく肩をすくめる。
「すみません」
「…しょうがないやつだな、早く席に着け」
先生はいつものこと、というように出席簿に書き込みをしていた。教室はざわついていた。
「静かに。授業を続けるぞ」
授業を再会した先生は黒板に背を向けた。教室のざわめきは小さくなったがおさまってはおらず、視線の多くは彼女を捉えたままだ。彼女はそれを別段気にすることもなく席に着いた。悠介の前の空席に。