あなたが一番欲しかった言葉
「俺はまったく英語が話せないから、現地への買い付けへも、通訳としていつも彼女を同行させてたんだ。
彼女が俺に魅かれていたのは、薄々感じていた。だけどな、俺だって馬鹿じゃない。
会社の事務員に社長が手を付けるなんて、それこそ愚の骨頂だろう?
気持ちはありがたかったが、彼女とはビジネスだけだと割り切り、それまで通りの関係を通してきたんだ。そのはずだったんだが」
どうして俺にそんなこと話すのだろう。
けれど、真摯に語る結城さんの話に釘付けになっていた。
「何事も控えめで、はしゃぐこともなく、派手好きなうちの女房とは正反対の彼女に、俺も徐々に惹かれていったんだな。
人を好きになるって理屈じゃないんだよ。分かるかい?」
「分かります。俺にも好きな人がいますから」
もちろんエミさんのことだ。
人を好きになるのは理屈なんかじゃない。
理屈で人を好きになるのなら、家庭がある人を好きになったりはしない。
彼女が俺に魅かれていたのは、薄々感じていた。だけどな、俺だって馬鹿じゃない。
会社の事務員に社長が手を付けるなんて、それこそ愚の骨頂だろう?
気持ちはありがたかったが、彼女とはビジネスだけだと割り切り、それまで通りの関係を通してきたんだ。そのはずだったんだが」
どうして俺にそんなこと話すのだろう。
けれど、真摯に語る結城さんの話に釘付けになっていた。
「何事も控えめで、はしゃぐこともなく、派手好きなうちの女房とは正反対の彼女に、俺も徐々に惹かれていったんだな。
人を好きになるって理屈じゃないんだよ。分かるかい?」
「分かります。俺にも好きな人がいますから」
もちろんエミさんのことだ。
人を好きになるのは理屈なんかじゃない。
理屈で人を好きになるのなら、家庭がある人を好きになったりはしない。