あなたが一番欲しかった言葉
「イサム君の恋ってのは・・・そうか・・・俺と同じなんだな。
平坦な道を歩いているわけじゃなく、それは俺の場合と同じように、つまり、いばらの道を進むようなつらい恋なんだな」

直球の言葉が、胸を射抜いた。

言い当てられて、俺は小さく頷く。




帰り際、結城さんは振り向いて俺に声をかけた。

「イサム君にとっては、嫌な話だったかもしれないね。
俺と祥子は引き裂かれてしまったけれど、イサム君とその彼女の恋が少しでも長く続くことを祈っているよ」

何も言えなかった。

エミさんとの関係がいつかは終わるのだと、そう言われている気がした。
< 131 / 230 >

この作品をシェア

pagetop