あなたが一番欲しかった言葉
「でも、ありがとう。俺は祥子とのことを誰にも話せずにいたんだ。
どうして君に話したか分かるかい?
君を見ていると、昔の俺が重なる。君は人と合わせるってことが苦手だろう?」

その通りだった。
人と群れるのが嫌いで、一人でいるのを好んだ。

「自分が一番だと信じていて、けれどそれは自惚れではない。
自分より弱い人間を見れば、放っておくことができず構ってしまう。違うか?」

何もかもを言い当たられ、俺は結城さんを見つめ続けることができなくなり、視線をそらした。
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