あなたが一番欲しかった言葉
「俺はさ、ずっと誰かに話したかったんだ。祥子のことを聞いて欲しかったんだ。
その相手がイサム君で良かった。聞いていた君は、辛かったかもしれないがね」

結城さんの瞳が潤んでいるように見えた。なんて悲しい瞳なんだろう。

「情けないな、俺。涙なんか見せちゃって」

「いえ、そんなことないです。俺、結城さんのこと、男として尊敬します」

バシッと肩を叩かれた。

「ふっ、何言ってんだ。こんな男を尊敬なんかするな。
そうだ、君に『成功の条件』ってやつを教えてやろう」

成功の条件・・・?

唾をごくりと飲み込み、言葉の続きを待った。
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