あなたが一番欲しかった言葉
♪目を閉じれば浮かんでくる
 おまえの微笑み
 楽しかった思い出だけが
 胸を通り過ぎていく
 たくさんの夢を語り合った
 たくさんの涙を流してきた
 おまえが消えた街角で
 俺は今日も唄い続けるしかない



胸の内を吐露するようなイサムの歌声。
シンプルだからこそ、胸に沁みてきた。

張り上げる声は、悲しみを含んでいる。

「これはなんていう曲名なの?」

「『悲しみの街で』っていうんだ」

「この曲は、イサム君の心のすべてなのね・・・」

イサムは下唇を噛んで黙ったままだ。


エミさんのことを唄っているのは明らかだ。

歌詞が真実であるからこそ、身近で同じ時を過ごしてきた僕らには、とても辛すぎる曲だった。
< 156 / 230 >

この作品をシェア

pagetop