あなたが一番欲しかった言葉
「実はなイサム、真梨子も曲を作ってるんだよ。MD持ってきたんだろ?」

「え、でも、いいよ。今日はイサム君の曲を聞きにきたんだし」

駄々っ子のように、首を左右に振り続ける真梨子。


小首をかしげながら、イサムが聞いてくる。

「真梨子って、そういえばピアノをやってるんだよな」


「ううん。正確には『やってた』かな。もう何年も前に辞めちゃったから。
練習は毎日きつくて嫌いだったけれど、それでも続けられたのは、曲を作っていたからなの。
自分で曲を作るのはとても好きだったんだ。頭に浮かんだイメージを、うまく音階で表現できた時の嬉しさって、何事にも変えられないの。
快感、なんていうと大げさかしら」


「あ、分かる!俺も同じだ!」


イサムが手のひらをぽんと叩いて、真梨子に同調した。

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