あなたが一番欲しかった言葉
「ちょうど高校1年の時でした。僕は学校で激しいいじめにあっていたんです。
クラスメートからは、僕の何もかもを否定され、嘲られ、やがて自分の存在価値を見失って行ったんです。
自分の考えはなにもかも間違っている、そんな風に周囲のいじめは僕を洗脳していきました」

胸が重苦しくなり、聞いているのがつらくなった。

「やがて一歩も外へ出ることができなくなり、学校は不登校に・・・。
どこへ行くにも、何をするにも怖くて、いつもイサムの判断を仰いでいました。
あいつはそんな僕を煙たがった。
当然ですよね。金魚の糞のように、兄が弟にべったりなんですから。
ある日、イサムにこう言われたんです。
『兄ちゃん、なんで戦わないんだよ。俺ならやり返す。黙って、引っ込んで、学校に行かないなんて、それじゃ負け犬じゃないか』と。
やがてイサムは家を出て行きました」
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