あなたが一番欲しかった言葉
柳田の「不倫記者会見」があった翌日の午後。

普段通り仕事をしていると、祐介が血相変えて、僕のデスクに走り寄ってきた。
机に手をついて、はあはあと荒い息を吐いている。

「どうしたんだよ、おまえ。そんなに慌てて」

「テ、テレビ、テレビつけて!」

隣の宏美に頼み、部署にある小型テレビをつけると、ワイドショーの女性リポーターが病院の前で、マイク片手に何かを叫んでいた。
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