あなたが一番欲しかった言葉
「もうだめれす、エミさ~ん、もう飲めませ~ん、ごめんちゃい~」

頬ずえついて、うたた寝をしていた真梨子が、がばっと起き上がり、とんちんかんな答えを返す。

2人ともすでに酩酊状態だ。
こんなに酒が強いとは...。

僕は心配になって訊ねた。

「エミさん、家の方は大丈夫なんですか。お子さんとかは」

「ああ、今日はいいの。子供、実家のお婆ちゃんちに泊まることになってるから」

エミさん。本名、橋本恵美。

僕より5つ年上の26才で、結婚していて、子供もいる。
保育園に通う男の子だと、エミさん本人から聞いたことがある。

店で働いている間は、ご主人が面倒を見ているらしいが、今夜のように時々実家に預けることもあるらしい。
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