あなたが一番欲しかった言葉
時計の針はすでに12時を回っている。
売り上げ計算や、ゴミ出しなど、仕事はまだたくさん残っていた。

帰ってこないイサムを待っていてもしょうがない。

僕は一人で後片付けを始めた。


エミさんと真梨子は本当によく飲んだものだ。
金額にしたら幾ら分だろう。
20本として×600円で・・・うわっ、12000円!?

店長、大赤字だよ。
大失敗じゃないの、世界一周ビールフェア。

新記録を作ったのが、従業員の真梨子とエミさんだと知ったら、店長は相当怒るだろう。

「黙っててあげるからさ、真梨子」

両手を枕にして、テーブルで熟睡している真梨子に話しかける。
寝ていて、聞こえないからこそ、話しかけられるのだが。

起こさないように、そっと空き缶を1つ1つゴミ袋に入れ、食器を洗い、台拭きを干す。

小分けに分別したゴミ袋を抱え、裏口から外へ出た。
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