あなたが一番欲しかった言葉
「出会って、何回かみんなで飲みに行くようになって、会うたびに、話すたびに、だんだん気になる存在になっていったんだ。
こんなにもフィーリングが合う人が、この世の中にいたのかと驚いた。
これまでも人を好きになったことはあったけど、真梨子への想いと比べてしまうと、あれは恋なんかじゃなかった、とさえ思えてしまうんだ。
こんなにも真梨子のことを・・・」

「ヨシ君、そこまでよ」

一息に話し続けようとする僕のことを、今度は真梨子が遮った。

「ありがとう。ほんとうに。心から嬉しいわ」

言葉を止めて、真梨子も小さく息を吸い込んだ。

「ヨシ君も知っているかと思ってた。
あたしもよ。あたしもヨシ君が好き。
ヨシ君とこうして同じ時間を過ごせるだけで、幸せを感じるわ」

「同じ空気を吸えることを、神様に感謝しないとね」

うんうん、と頷く真梨子の瞳が潤んでいた。
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