あなたが一番欲しかった言葉

僕と祐介は、生ビールとウーロンハイを2杯ずつ飲み干し、帰り支度を始めようとしていた。
その時だった。

店内の有線放送から聞き覚えのあるメロディが流れてきた。

「ヨシ君！この曲、この曲だよ。さっき話してた『カシミヤトイズ』！
ママ、この曲知ってる？」

「うん、知ってる。娘がこのバンドを好きでさ、CD借りてしょっちゅう聞いてるよ。このヴォーカルの声、魅力的よね」

♪
抱きしめてくれた手のぬくもり
あたしは感じることができる
たとえ遠くに離れていても
たとえ２度と会える日が来なくても
あなたをいつもそばに感じる
幼き記憶の彼方から
知っていたような　ソウルメイト　


祐介も店のママも、うっとりとした表情で曲に耳を傾けていた。