あなたが一番欲しかった言葉
本気でそんなことを思っているわけじゃなかった。

エミさんとイサムは似合いのカップルだったし、何よりも僕と真梨子と4人で一緒に出かけることが、何よりも楽しかった。
だが、勢いを増して口から出る言葉は止まらなかった。

「ただセックスがしたいだけなんだろう?エミさんだってお前との浮気を楽しんでるだけだ。飽きて、元の家庭に戻るのが目に見えてる」

ガチャ・・

トイレの鍵が開き、静かにドアが内側に開いた。

言い過ぎたことは分かっている。
でも、もうあとへは引けない。

興奮と恐怖が入り混じり、自然と足は1歩後ろへ下がっていた。
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