あなたが一番欲しかった言葉
「真梨子・・・もし真梨子が隣にいたら・・・」

「隣にいたら、なに?」

「粉々に潰れるまで抱きしめてやるのに」


2人して笑いあった。


「あたしだって、」

「あたしだって、なに?」


「その腕で今すぐ抱きしめてほしい」

「・・・・」


コードレスの受話器を持ったまま、僕は窓辺に移動をした。

師走の空は、雲の影ひとつなく、強い光、弱い光、たくさんの星々が輝いていた。
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