‐恋は唇で嘘をつく‐【激甘短編】



「まるで美羽の唇みたいだ」


そう言って、また薔薇の花びらを一枚ちぎり、自分の口元にあてた



ちゅ…と最初は淡く唇を寄せて、次に舌で軽く舐めた



薔薇の花びらを横に、赤くなった私を見ながら彼は呟いた



「欲情しちゃった?」



唇がよりリアルに見え、柔らかく熱い口づけをまるでされているようで



心が溶けそうになる


「…そ…そんなわけないっ…」



私はそのまま植物園を抜け出した



あのままあそこにいたら壊れてしまう


彼の熱で





< 4 / 37 >

この作品をシェア

pagetop