ヒミツの悪魔くん
あたしはコーラのコップを抱えて急いで席に戻った。
「裕大くん!!!友達の名前教えて!!!」
「あさ……ちゃん?」
なんだか慌てた様子のあたしを見て、裕大くんは目を丸くして驚いているようだった。
けれど、今のあたしにはそんな事より確認しなければいけなかったのだ。
「そんなに慌ててどうしたの?」
「いいから早く!!!」
今のあたしは優しい言葉より答えの方が欲しくて、急かすように祐大くんに詰め寄った。
けれど次の瞬間、裕大くんの言葉より先にあたしに答えを教えるかのように、小さく体がフワッと浮いた。
「あさったら往生際が悪いなぁ~」
そして、ふりむかずとも、あたしを持ち上げた犯人の正体を声を聞いただけで分かってしまった。
「ら…ら…ら……ラブっ…ふごッ!!」
あたしの言葉をさえぎるように、星の手があたしの口を押さえた。
「あさ、その単語大きい声で叫ぶ気?」
ニコッと笑いながらあたしに言う星を見て悔しくなった。
言ってやりたかったわよ!!!
今、めちゃくちゃ叫びたい気分よ。
ー…あんたの事、もう“夢の出来事”として忘れることなんて出来ないんだって分かっちゃったんだから。