ヒミツの悪魔くん



ワイワイした肝試しも終わり、俺たちは部屋へと戻った。




「あさちゃん、いい子だな」

「なんだよ、いきなり」




寝る支度の途中、奏が俺に小さな声で言った。





「あの子なら、大丈夫な気がするんだ」

「えっ…」




俺のキョトンとした顔を見て、フッと笑う。





「俺らの事も話すんだろ。きっとあさちゃん、聞きたいけど聞かないと思うから」

「あ…あぁ」







俺の言った、“家族はいない”って言葉。





言う気だったけど色々あって言えずじまいだった。





あさは人の痛みを自分の痛みのように思う子だから。





きっと、悲しい思いをさせちまうかもしれない。





けど、裕大が勇気をくれた。






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