ヒミツの悪魔くん


やっと言えた言葉。



でもやっぱり星から出る言葉が怖くて、あたしはギュッと目を瞑った。





…少し静寂があたし達を包んだ。




けれどそれを打ち破るかのように、星がゆっくりと口を開いた。





「…俺さ、料理意外と好きなんだよね」

「ー…へ?」




予想外の星の言葉に、思わず間抜けな声があたしから出てしまった。





「まぁ、得意ってわけじゃないしまだまだだって分かってるんだ。けど、やっぱり俺の料理を食べて喜んでくれる顔とか見ると嬉しくて」




そう話す星の横顔がなんだか照れた様子で、すごく愛おしく感じた。





「…そっか、星らしいかも」

「だから高校は料理の専門校とか行って学びたいとか思ってるんだ」

「すごい、素敵な夢を見つけたんだね」




あたしの言葉に、星は優しく笑った。





「ありがとな、あさ」










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