ヒミツの悪魔くん
「えっ、あたし?」
首を傾げるあたしに、奏さんはクスッと笑って言った。
「うん、そう。星の一目惚れだったんじゃないかな。本人は最初は気づいてなかった…違うな、気づかないようにしていたんだ。だけど気づいてしまった。君を失う辛さと苦しさを」
「そ…それって」
「星は君を守ろうと、父さんの言う事を聞こうとしていた。だから君を突き放して明日香を選んだ。けど、俺がその邪魔をしてしまったからね」
「あたしの背中を…押してくれた事ですか?」
「そう、星の心を揺さぶったんだ。“このままでいいの?”って」
…あたし、星にとって余計な事を…邪魔をしてしまったのかな。
星があたしを守ろうと選んでくれた選択の…。
うつむくあたしに奏さんが申し訳なさそうに言った。
「あさちゃんの所為じゃないよ。最後に選んだのは星だ。邪魔したのはむしろオレかな。俺は自分の為に2人に協力をしたから」
「…明日香さん…ですか?」
「な…なんだ、ばれてたのか」
「なんとなくでしたが、当たっちゃいました」
「ふっ、やられたな」
あたしも星も、奏さんも
大切で守りたいものがあるから
必死でもがいてる。
「きっと、人を好きになるって自分のずるくて弱い部分と向き合うって事なのかもしれないですね」