ヒミツの悪魔くん



塩崎邸に着くと、玄関の前で明日香が立っていた。




「中で待っていればよかったのに」

「いえ、奏に出向いてもっらてますもの」

「………」




…オレはまだ、明日香に何もしてあげれてない。



“好き”って事も伝えれてない。



けど明日香はオレのように立ち止らなかった。





「…婚約の事、聞いたよ」

「はい」

「ー…なんで?」

「奏は面白い質問をしますね」




明日香がクスッと笑う。




「これ以上2人の邪魔をしたくはなかったから。でも、商談が私のせいで駄目になんて出来ないから奏とってお話をしたんですの」




そう言って力なく笑う明日香。





そんな風に笑うな。




すべてを忘れるくらい泣けばいい。





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