ヒミツの悪魔くん
「まぁ、頑張って」
「あ…ありがと」
ん?
これはありがとうなのか?
「泣かされたらいつでも胸貸すから」
「う~ん、出来れば泣かない方向に頑張る」
「そっ」
公園で再会した時、あたしを助けてくれた貴ちゃん。
貴ちゃんがいなかったら、あたしはもう一度頑張ろうとは思えなかったかもしれない。
「…ありがと」
「へ?」
「う…ううん、何でも」
今度は貴ちゃんが立ち止まったら、あたしが手を引けるように。
「あたし、強くなるよ」
「…うん」
少しでも、支えになるように。
「あっ、これから俺も用事なんだ」
「そっか、気をつけてね」
「あぁ」
軽く手を振ると、貴斗は駅の方へと駆けて行った。