ヒミツの悪魔くん
少し離れたところで足をとめた。
「そっか…婚約者…」
なんで?
婚約者がいるのに、あたしに好きだって言ったの?
…やっぱり、遊ばれてたのかな。
星の言葉に、表情に、嘘はないと思ったのに。
全部嘘だったんだ。
…男運ないな、あたし。
驚きと虚しさで泣く寸前の所で、後ろから声がした。
「あさ!」
「…星…」
今一番見たくて、見たくない顔。
「…何よ、婚約者置いて…」
「あさ、俺明日歌といずれか結婚するんだ」
「…ふーん、良かったね」
なんでそんなこと言うのよ。
別にあたしには関係ない。
あんたなんて、すぐに忘れてやるわ。