ヒミツの悪魔くん
廊下や下駄箱はその訪問者の話題でもちきりだった。
「すっごく綺麗な顔の人が校門にいるんだって」
「なんでも、“あさ”っていう女の子を探してるみたい」
チラッと耳に入る会話。
…あたし、身に覚えがないんだけど~(汗
眉間に思わずしわが寄る。
それを美緒は見事に取り払った。
ゴッ…。
「った!!」
「しわなんか寄せないの」
軽くやったつもりなのだろうか。
美緒の軽く跳ねたデコピンは、いい音を立てた。
もちろん音と痛みは比例していた。
「う~…、ちょっと考え事」
「ふーん、ならいいけど」
身に覚えがないんだもの。
本当なら行きたくはない。
それでもあたしの名前を出されちゃ行かない訳にもいかないのだ。