ヒミツの悪魔くん
「奏さ…」
「俺なんて、いつも自分の事ばかりだ」
あたしの言葉に、奏さんの言葉が重なる。
「……」
奏さんの表情が聞かないでと言っているようで、その先をあたしは聞く事が出来なかった。
「そーだ、あさちゃん」
「は…はい!!」
いきなり呼ばれて、ビクッと反応する。
「ちょっと、付き合って?」
「…は…はい」
さっきまでの空気とは違い、一気に空気が柔らかくなる。
少し…ホッとした。
奏さんに気を使ってしまいそうだったから。
きっと…奏さんもそうならないようにしてくれたのだろう。
なら、あたしもそれに甘えるとしよう。
「どこに行くんですか?」
「んー…デート」
「は?」
二カッと笑って言う奏さん。
もちろん…冗談ですよね?