ヒミツの悪魔くん
旅行へ向けての買い物。
場所の確認など、旅行までの日々はあっという間に過ぎていった。
そしてそれぞれの思いを胸に、波乱の旅行が始まる。
「見て見て、あさ。凄い景色」
「本当だ」
「裕大、ほら凄いよー」
「景色は興味ない。それより腹へったぁ」
「もう、食いしん坊バカ」
「なっ…」
旅行が始まると、すぐに車の中は賑やかになった。
奏さんが良ければ友達も…ということで、あたしは美緒を誘った。
まぁ、そしたら必然的に裕大くんは付いてくるわけで。
人数が増えて、更に賑やかになったのだ。
「こーら、2人共。運転してる人に迷惑でしょ」
「大丈夫ですよ」
車を運転してくれているのは篠原家の専属の運転手さん。
なんだか“執事さん”みたい。
これもあたしの“知らない星”なんだろうな。
「「はーい」」
あたしの声に2人がシュンとしながら謝る。
まるで子供をしかる親の気分。
そのやり取りを見て、奏さんがクスクスと笑った。