猫と君
楽しい誕生日パーティー。
母親たちは自慢の腕で
料理を振舞う。
葵もせっせと手伝いをしている。
父親たちは
茶の間で一杯。
俺も父親たちに混ざり
麦茶をすすっていた。
向かい側から突然
葵のお父さんの質問が飛んできた。
「慧君はもう葵と付き合ってるのかい?」
「ぶっ!!…ごほっ…」
「それが慧のやつ、
まだなんだよ、な?」
隣にいたクソ親父が
にやけながら俺に問う。
「うるせぇよ、親父」
「そうなのかぁ、他の男は駄目だが
慧君にだったら安心して葵を嫁に出せるからな」
はっ!?
「よっ!?嫁って…;」
「ほら、葵ちゃんのお父さんが
かわいい娘をお前にだったらやるって言ってんだから
早くもらっとけよ♪」
「……」
酒のせいで顔が赤くなった男二人は
がはは、と大きな声で笑っていた。
俺は火照った顔を必死に隠すように
麦茶をすすりながら俯いていた。
「ほらほら!!ご馳走ができましたよ!」
待ってました!!といわんばかりの勢いで
腰を上げ、俺は逃げるように料理を運ぶ手伝いを始めた。