猫と君


誕生日のうたが
幸せな家に響く。



葵はケーキを頬張りながら父親に言った。


「お父さん、今日で何歳になったの?」


「それ聞いちゃうか?葵…」

それと同時に
笑い声が響く。



「確か…もう46か?」


「早いものよねぇ。
お父さんもあと4年後は50よ?」


母さんたちが顔を見合わせて笑う。



「わぁ…
4年後、あたし二十歳だよ?」



あははは――

未来の話で盛り上がる。


幸せな時間。



しかし


幸せな時間は
長くは続いてくれなかった。




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