走り出せ、コスモス<前編>
第1章

さくら



カラカラカラ…


窓際に座ってる男の子が

窓を開けた


その瞬間

ぶわっと


風が空気を大きく動かして

窓から


桜がいっぱい 入ってきた


同時に

積んであったプリントが

教室中に舞い上がる



うわあ

桜 近い


ちょうど桜が見える席…



ひらひら ひらひら


頬を緩ませながら

窓から入る桜の一枚に


視線を沿わせた



――カチャ …キィ―



そのまま花びらの行く先を見ていると


ある所で視線が止まった



舞い上がる

プリントの白と

桜のピンクに包まれた


大きな体…



にっこり笑うその人に、


目を奪われてしまったんだ






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