走り出せ、コスモス<前編>
藤石から見た沙枝
「じゃあ、今日はここで終わります。
さっき言った宿題、忘れないようにしてくださいねー」
俺は、この曜日のこの時間だけ、授業が終わるとすぐに教室から出る。
俺は、生徒に告白されてしまった。
しかもその子は、特別かわいくて特別かわいがってた子。
まさか俺をそういう風に見てたなんて、思いもしなかったよ。
入会の生徒ファイルが送られてきて、その写真を見たときから、かわいいと思ってた。
名前もかっこよかった。
しかも今までの模試の記録とかもやばくて
すぐに覚えた。
実際見たら、もっとかわいかった。
最初は少しぽっちゃりしてたけど、
目が大きくて肌がきれいでさらさらのロングへアー。
そんなこと気にならないくらいかわいかった。
そしたら突然やせだして…
心配したけど、そのかわいさの上昇に驚いた。
周りの男達も、多分みんな俺と同じように思ったはずだ。
決めたことは、究極に、できるところまで。
失敗したら、やけに、深く落ち込む。
感情の起伏が激しいけど、周りに気付かれまいと努力する。
いつも一生懸命で、なんだか楽しそうで。
俺もあんな頃があったっけな…。