走り出せ、コスモス<前編>
俺はすぐ振り返って、あの大きな目を見た。
「え…とどうしたの?」
必死に平静を保とうとすると、案外うまくいった。
よかった。
「テスト返ってきたんだけど、すごく…いい点数だったの。」
うわ…
ホントに
きれいな顔してんな
「それは…よかったね
おめでとう何点だったの?」
俺は久しぶりに近くで見た顔に見入っていた。
「98点」
「・・・え。
うわそれは…すっごい
おめでとう」
あれ見たけど結構難しかったのに…
…頑張ったんだね
俺が笑いながら言ってるのに、沙枝ちゃんは怒ったように無表情のまま。
「それだけっ」
そう言って向こうをむくのに
一向に進もうとしない。
そんな彼女に、多分欲しがってる言葉を渡す
「おめでとうね
よく頑張りました」
すると、向こうむいた顔がこっちにむいて、嬉しそうに笑った。
かわいい、お花みたいな笑顔。
俺もつられて笑うと、パッと目を離して向こうへ駆けて行った。
あ・・・
まだ、俺のこと思ってんだ
ありがとう
でも、ごめんね