走り出せ、コスモス<前編>
それから先生はすっと目を逸らした
急に
逃げ出したい気分になった
今日ずっと
会いたいって思っていた人の前から…
先生はいつも優しくて
笑ってて…
そんな先生を大すきになったの
しゃべってる時間も楽しくて
大切だった
それをなくしてしまったのは
私のせいだよね
「ごめん 話しかけて」
「いや… 別に」
お互いに下向いてて
変な 空気が
流れる
やっぱりこんなの
おかしいよね
「でも ごめん
ほんとに すきなの…」
手を口にあてて
消えそうな声で言った
先生の答えが変わるなんて思ってない
迷惑なんだって分かってる
ごめん 先生 でも
この気持ちが止まんなくて
口から勝手に出る
「うん…ありがと
でもやっぱりごめん」
先生は
ちゃんと返事してくれる
ありがとう
「うん…」
分かってる
ひとりごと
口から出ちゃっただけ
「他にもっといい人いっぱいいるから 探して、ね?」
そんなの できないよ
先生じゃなきゃ
だめなんだよ
先生はこんな迷惑な生徒も
うざがったりしなくて
ちゃんと返事してくれる
それに
距離を取ってくれて
ホントに
優しい人
「……」
私は 同じ人に
2回フラれてしまった